Technics 20A 擬き OTLアンプ「M-20A」(8)
写真:記事の投稿に合わせて、昨夜M-20Aを使ってみました。これは8本仕様にしています。
OTLアンプの調整はかなり面倒ですが、1つずつ順に確認してゆけばそんなに難しいものではありません、と言いたいところですがシングルアンプなどと比べるとずっとややこしいですので慎重に進めましょう。
私の場合は、出力管のDCバランスから始め、それが終わると一旦出力管を全部外してから、増幅段の調整をします。(増幅段から先に初めても一向に差し支えありませんが、手順が少し違います)
必要な個所の電圧が確認できたら、いよいよ真空管を差し込んで調整します。
調整過程では、一次側AC100Vはスライダックを使いながら、配線内部の様子(煙が出ないか、異状発熱がないかなど)を監視しながら行います。ここからはゆっくりと焦らずにすすめることがコツです。
出力部のDCバランス調整
出力管25HX5のバイス電圧2か所が規定案圧より深い目に設定してから出力管を1ブロック4本ずつ挿入します。
バイアス調整はシャーシ上面からできるようにしてありますが、シャーシをひっくり返して点検・通電する場合は発熱状況をみてファンで冷却するなどし、真空管の放熱対策をします。
バランス計と電流計を付けてありますので点検・調整は大変らくちんです。ON/OFFスイッチがあるので、調整時はいつも気を付けて電流計の振れを見ながらやるようにします。振り切れるようなことがあれば、(多くの場合、発振現象)すぐ電源を切ります。
バランス計と電流計はバイアス調整を交互に回してにゼロ位置と規定電流に合わせ、1ブロック増やすごとに同じように電流とゼロ位置を合わせます。
1ブロックでは2個のバイアス調整VRで電流計100mA(1SEPP当たり50mA)に合わせながら、バランス計をゼロに合わせます。これを何度か繰り返してゼロ点と電流を合わせます。
写真:木の丸棒は、高さ調整のためジグとして使っています 、こうしておくと安全に調整できます。
主要部分の電圧監視状況:ほぼ正常電圧になっている。
同じように1ブロック4本ずつ差し込んで通電チェックします最終は3ブロック12本にしてチェックします。
プレート電流は全面の電流計で監視、SEPP1回路当たり50mA、6回路分で合計300mAにバイアス調整し、バランス計をゼロにします。
25HX5を3ブロック12本全部挿入すると発振しやすくなります。発振すれば電流計が急に振り切れるほど電流が流れますのですぐに電源を切ります。発振対策については後に触れます。
なお、このアンプには電源スイッチの横に出力ミューティングスイッチがあり、上がダミーの8Ω抵抗に、中立ちがOFF、下がONでスピーカにつながります。スピーカ端子に外部の負荷抵抗をつながなくても調整できます。
以上でdcバランス調整は一旦終了します。この後は1時間以上エージングします。
分かりにくい説明があるかもしれませんが、質問がある場合はコメント欄からお願いします。