真空管アンプ製作

真空管アンプの自作記事です

Technics 20A 擬き OTLアンプ「M-20A」(9)

Technics 20A  擬き OTLアンプ「M-20A」(9)

 

写真:2種類の25HX5

上:RCA、下:SYLVANIA(松下製と思われる)

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出力段25HX5のDCバランスの調整が終わりましたら、25HX5は一旦取り外しますが、付けた位置を元に戻せるように番号などを記入しておきます

 

増幅段の調整

ここからは測定器が必要です。オシロスコープ低周波発振器、電子電圧計、歪率計が必需品です。

このM-20Aに関してはここからが大事な点検・調整になります。

各部の電源電圧は先に確認してあるはずですが、真空管を差し込む前に再確認します。

 

ここは6BQ5プッシュプルアンプ並みの構成ですからそのつもりで取り組みます。6BQ5回りの配線がややこしいので再度配線間違いがないかを確認するのが良いです。

 

配線間違いが無ければすんなりと働きますが、万一うまく働かない場合は真空管の動作不良か部品のつけ間違いです。(ケミコンの極性など)注意して点検しましょう。

 

 

増幅段の配線:見苦しくて上手な配線ではありませんが。

大きなオレンジドロップが目立ちます

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増幅段のみの調整はほとんどありません が、信号を入れて動作を確認しておく必要があります。

 

動作確認にあたっては、増幅段のゲインが高く、ハイパワーですので、入力信号電圧は過大にならないように注意します。

6BQ5出力(25HX5入力)をオシロスコープで波形観測し、信号が正常に出力されていることを確認します。

 

再び出力段の25HX5を挿入して全体の調整をします。

調整が必要なところは、打消し回路と負帰還回路ですが負帰還回路CRは指定通りであれば調整する必要がありません。

ACバランス調整(打消し回路の調整)

 

信号を入れながら、1kHz、出力1W(または10W)にして出力波形と歪率計を見ながら歪率が最低になるよう打消し回路の可変抵抗を調整します。この可変抵抗もシャーシ上から回せるようにしてあります、

 

このテクニクス方式の打消し回路の動作説明はOTL参考書には記載されていますのでそちらをご覧ください。

 

負帰還は指定のCR値であれば問題ありませんが、必要に応じて減らすのも良いと思います。ただし入力感度があがりますので注意が必要です。

 

調整の最初に記載したように、OTLアンプの調整はゆっくりのんびりやるのがコツです。

 

全体動作が正常になったらシャーシを正常な向きに置いて通電し、前面のメータを見ながら動作状態を監視し30分以上エージングします。

そのあとに再度出力段のDCバランス、打消し回路の微調整をします。必要があれば測定データを取ります。

 

このACバランスの調整は、バランスメータを見て入力電圧を上げながらできる別の簡単な方法があります。この方法は別に記載します。

 

十分エージングできましたら、いよいよ音出しに。

 

写真:日付け 11月10日、概略の調整が終ったところ。

電流は25HX6×12本で250~300mAになります。

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これまでの点検調整の記載から、大変順調に点検調整できたように思いますが、実はいろいろなトラブルに見舞われました。

次回はM-20Aの製作調整について、これらの発生したトラブルについて報告します。