真空管アンプ製作

真空管アンプの自作記事です

26HU5(T)×8mono OTLの製作(4)

 

26HU5(T)×8mono OTLの製作(4)<説明を追加しました>

 

回路図:ご参考に

 

 

このアンプを作った目的

醍醐LPレコードコンサートに使うためです、いつも使っていた「6C33C×8ステレオOTL」は、真空管6C33Cを他のアンプに回してしまったため、使えなくなったことです。球はあるのですがエージングと選別が大変なので使うことをやめました。

そして使うスピーカが3ウエイ方式の4台を使うことになり、アンプがモノラル4台必要になったことです。

このアンプを4台作ればよいのですが、それはあとの課題にして、2台は先に製作した「フッターマンOTL-3(M)」を使うことにしました

 

回路の簡単な説明

回路構成

V1,V2,V3の12AX7が初段、V1が差動増幅器、V2、V3は真空管抵抗、2段目6463も同じでV4が差動増幅器、V5、V6が真空管抵抗器、1段目と2段目は直結になっています。V7、V8の6463はカソードホロワーで、双三極具をパラレルにして出力管をドライブ、V9~V16の26HU5は出力段です。

 

実験的にこのような回路にしましたが、なぜこのような一見複雑に見える回路にしたかという理由は

①出力段を低インピーダンス・カソードホロワードライブする。これは出力段を4パラにすると発信しやすくなるため発振防止にもなる。

②負荷抵抗を真空管にすればどんな音になるかの実験

真空管6463が多数あるから活用する

④以前から考えていた回路なのでこの機会にやってみたかったから

 

増幅段は例えばフッターマンH-2型では6AN8が1本しか使われていない、OTL-3でも2本である。それから比べると本機に使った球数は8本と多い。

 

これまで自作したOTLアンプの中では最大規模になりますが、OTLアンプの先駆者であるである武末数馬、森川忠勇、加銅鉄平、宮崎良三朗、黒田徹の各氏をはじめ多くの先達の研究成果、海外ではマコフスキー、フッターマン、スティーブンス、カウンターポイントなど著名OTLアンプの自作や修理により学んできました。このアンプはそれらを通して学んできた結果生まれました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

電源回路

主電源にRコアトランス400VA型、ヒータ電源に300VA型を採用し強力な電源を構成しました。出力管26HU5がロットやメーカ不揃のためたヒータによる球の不揃いを避けるためにAC26Vから並列接続にしましたがその分トランス容量が増えました。メーカやロットがそろっているならばAC100Vから直列点火するほうがよく、そのほうがトランス容量を減らせます。

回路図上から、主電源±200V、下側カソードフォロア電源-200V、増幅段電源+425V、初段マイナス電源-110V、それにヒータ電源6.3V3A7

下のヒータトランスは、26HU5用26Vとカソードフォロア用球の6.3Vタップを設けている。球のH-K間耐圧の関係でヒータはそれぞれグループに分けて点火している

もう少し簡略化できる可能性もあるか、実験的アンプなので問題がないようにしました

 

得られた結果

結果どうであったかはまだ少し先になりますが、現時点で分かっている問題点は

①出力1W/1kHz/8Ω時のひずみ率が0.5%と大きい。せめてその半分0.25%程度に収めたい。負帰還量を増やせばよいが入力感度が落ちるので音質との兼ね合いがある。負荷抵抗16Ωでは少し改善される。

②出力管をカソードフォロアドライブしているが、下側のV86463プレート電圧を出力端から供給しているが、この方式が妥当なのか?

この方法は黒田徹氏のRG誌発表によるが、プレート電圧を出力端からとるか、アース側からとるかであるが、これはまだ実験していない。黒田氏のシュミレーションによると出力端からとる方がひずみ率が低くなるといわれる。出力端からとるとプレート電圧は出力波形で変調され負帰還がかかったように動作する。これは「打消し回路」のような働きとなり、SEPP下側のドライブ電圧を低下させる。

実際にどの程度の影響があるのか未実験である。

(理論的に解析できれば良いが)

 

<続く>