真空管アンプ製作

真空管アンプの自作記事です

古いLUXKIT A3500 の修復(5)

古いLUXKIT A3500 の修復(5)

通電デスト

配線間違いはなかったが、NFB抵抗のつけ間違いがあった。カラーコードの読み間違いのようすだが取り付け時に抵抗を取り違えたようだ

概ね通電チェックが進み、マニュアル記載の特性に近い値が確認できました

 

 

 

 写真:通電チェックが終わった!

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通電順の説明(このアンプの場合

初めて通電する時は概ね次の順にします、異状があればすぐ電源を切り原因を調べて対処します。

 

チェックの間AC100Vはスライダックを使って電圧を徐々に上げてゆきます

整流器は外しDC電圧は出ないようにする

・スライダックでAC10Vにして電源トランス回りの電圧チェックをする。テスターでトランス端子に規定電圧の約1/10電圧が出ていることを確認する。

・確認すれば、スライダックの電圧を徐々に上げながら、発煙焼けたにおいがしないかを確認しながらAC90Vまでゆっくり上げる。

・トランスの各端子電圧に規定に近い電圧が出ていることを確認

真空管の各ヒータ端子に規定電圧が来ているかを確認する

真空管を差し込みヒータ点火テストをする。

 

ヒータの点火テスト

無事に火がともりました、確認したあと真空管は一旦外しておきます。

 

・ヒータ点火テストはヒータ配線ができたときに済ませておくのが良いが、このアンプの場合はサブシャーシがあるので、通電テストの最初にすることになった。

 

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バイアス電源、B電源部の電圧確認

外してあったバイアス用ダイオードを取り付けて、AC10VにてDC出力電圧を確認する。確認したらAC90Vに上げて規定電圧近くになっていることを確認。

この時同時に出力管にこのバイアス電圧がかかっているかを確認する

 

次にB電圧ダイオードを取り付ける、AC10Vで整流出力電圧が既定の約1/10電圧を確認、それが終わるとAC10Vから徐々に電圧を上げながら、発煙や焼けた臭いがないかを確認しながらゆっくり、AC90Vまで上げしばらく異状が無いかを見る。

 

このB電圧チェックの場合は、配線間違いがあると事故になりますのでよく確認しながらゆっくりやります。

 

 

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出力管のDCバランス確認

L側出力管EL34を2本挿入し、テスター2台を各EL34のプレートとB電源との間に入れて電流バランスを調整します。

 

ここはテスターが4台あると便利、これはOPTの内部抵抗を利用してその電圧降下で電流値を測定する。ここでは8Vにする。

基準電圧値は7.5~8.5Vなので、この段階では大体で良いが少なめにしておく。

 

次にR側のEL34を差し込んで、L側と同じように。

この時はLR相互に影響するので、LR同時に監視しながら、

最低30分は様子を見て最後に約8Vにする。

デジタルテスターでは電圧が細かく表示されるが、あまり気にしないで、8V前後にあればよい。

 

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B電圧は約465V

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通電して1時間ほど様子を見て、AC100V供給時にテスター電圧を約8Vにする

 

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出力段DCバランス調整が終わると、増幅段の6AQ8を3本とも差込みます。

 

ここはテスターで各部の電圧をが規定付近にあることが確認できれば正常に働く。

まれに発振することがあり、NFBを外しておく。NFBを付けると発振する場合は、OPT配線回りを確認するが、OPTとEL34間の配線がどこかで間違っていることが多い(信号極性が違う)ので点検する。

 

ここまでチェックができると概ね良好に働いていることになります。

 

発信器、オシロ、歪率計、などの測定器と負荷抵抗8Ωを準備して特性測定します

 

概略特性測定(測定手順の詳細は省略します)

ELL34は、元ついていた松下製6CA7を装着

マニュアル記載の特性に近い性能が得られる

最大出力は50W、周波数特性は高域は90kHz-3db

歪率特性、方形波特性もまずまず良好。

 

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6AQ8の良品が3本しかないのでこれで最後の球を使う

 

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EL34は、このアンプ用に買ったスベトラーナ製に交換するので測定準備して作業終了

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古いLUXKIT A3500 の修復(4)

古いLUXKIT A3500 の修復(4)

配線作業が最終段階に入ってきました。

昨日は日曜日でしたが、午後から頑張ってやりました、加齢とともに手が遅くなってあと少しというところに時間がかかります。

 

配線図をまとめました。プリアンプへの配線は省略したのでオリジナルと少し変わっているところがありますが、CRなどの回路定数は、ほぼそのまま踏襲しています。

 

配線を点検している過程で、プッシュプル接続が上下逆になっていることがわかり、現物の修正をしました。

 

回路図:

間違っているかもしれませんので参考程度にしてください

 

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配線方法について(このアンプの場合)

配線は色分けしていません。この黄白ツイスト線は先達から回してもらったもので、まだ沢山あり、もったいないので使っています。

真空管アンプ製作を再開した30年ほど前は、ベルデンの配線材を買って色分けしてましたが、この配線材が結構高価でした。丁度無くなった頃にこの黄白線を回してもらったので以降はこの線を使っています。

 

・一点アースは入力信号近くにあるサブシャーシ止め穴を利用し4mmのタップを立て、付近の塗装もはがして真鍮ビスと菊ワッシャでしっかり止めます。各ブロック別のアース線はここへ集め、アースラグか圧着端子でビスに止めます。

 

・アース母線は径1.2mmの銅線を2本捩って使います。

 

・LとRの信号線はできるだけ分けて配線します。

 

・電源配線は電源ケミコンのところからL用R用と2本引っ張り、渡り配線は極力避けます。

 

・信号帰路になるアース側配線もできるだけLRを分けてもとに戻るようにして一点アースに繋ぎます。

 

・信号系のアースはアース母線上で帰路アースが一点アースに向けて一方向に流れるように順序を考えてつなぎ、またL側R側の個別アースを同じ母線(信号帰路)に繋がないようにします。

 

・配線を結束する時はLRを一緒にしないように分けます。

 

 

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白と赤の〇シールはLR区別のために貼ってあります。

 

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OPT出力からスピーカー端子への線はLANケーブルの芯線を分解して使っています。

 

o

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まだ少し作業が残っていますが、後の作業は電源を入れながらにします。

 

3月10日完成を目指して頑張ろう!

 

 

古いLUXKIT A3500 の修復(3)

古いLUXKIT A3500 の修復(3)

しばらく、寄り道をしていましたが、A3500の作業に戻ってきました。

 

写真:前回までに出来上がったところまで

 

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先週末にCR部品を買い出しに大阪日本橋

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これから製作する予定のアンプに必要な抵抗類が10台分ほどあります 。

このコロナ禍で今度いつ買いに行けるかわからわないので、まとめて買ってきました。

締めて16k円ほど、こんなに沢山抵抗類を買ったのは初めてですが。このほかに重量物は宅急便で送りました。

 

この中から必要な分を取り出します。

 

昨日、夜2時間ほどサブシャーシから配線作業を始めました。このサブシャーシは、元はプリント基板になっていたものをアルミサブシャーシにしたものです。

 

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配線用の実態配線図は、以前にメモ書き程度に書いてありました。

平ラグ板を上下に置いて、部品のほとんどはこのラグに取り付けますが、上側部分の2個が出来上がりました。

 

この部品の取り付け配線は、いくつかの方法がありますが、私は通常CR類はこの平ラグ板にとりつけます。もちろん真空管ソケットピン傍に直接つけなければならないものは直接取り付けます。

 

この方法は、メモを書いている時にメモ上で配置の検討や誤配線の点検ができます、また、配線がしやすいのと後からの点検が楽になります。

 

欠点はラグ板上での配線変更がしにくいことですが、これは回路定数が確定している場合は問題ありませんが、後で変更するような場合は部品を仮付けするなど取り付け方を工夫します。

 

部品配置では、LRをできるだけ分離するように留意します信号線をはじめ、アースラインや+b電源ラインは必ず別にします。

 

 

 

 

 

 

 

 

古いLUXKIT A3500 の修復(2)

古いLUXKIT A3500 の修復(2)

 

写真:昨日(2/25)までできたところ

線を這わすところは9割方できました

 

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写真:シャーシの両側に取っ手を付け

このアンプには底板もカバーもついていないので両側に取っ手を取り付けて作業がしやすくなりました

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写真:サブシャーシ

プリント基板部がもともとついてなかったのでサブシャーシを作り塗装しました。ここへ増幅回路を組みこみます

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9ピンソケットを取り付け

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シャーシに仮取り付け、一点アースとなるところはシャーシの塗装をはがし4mmタップを立てて確実にシャーシアースになるようにしますf:id:arunas001:20210226072228j:plain

 

カバーと穴位置もぴったしです

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写真:昨日できたところまで

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このあとはCR部品を買わないと進みません

近畿の緊急事態が解除されれば大阪日本橋へ買い出しに行こう

 

古いLUXKIT A3500 の修復(1)

古いLUXKIT A3500 の修復(1)

今年に入って2台のA3500を修理する機会があり、このブログでも紹介しました

 

写真:先に修理した2台のアンプの内2台目のアンプ

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実は私の手元にも10年ほど前にゲットした壊れたA3500が2台あります。

この機会に思い切って修理しようと倉庫に仕舞ってあったアンプを取り出してきました、

 

内一台(Aアンプとします)はまだ未完成の状態で配線半ばのアンプをゲットしたもので、前所有者が改造中であったものと思われ、外観は比較的綺麗です

 

写真:Aアンプ(解体前の写真を取り忘れ)

プリント基板は寸法取りにBアンプから取り外したものでAアンプにはついてなかった。代わりに2台分のサブシャーシを作りました

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他の1台(Bアンプとします)は、ゲットした時には、アンプの上から何か液体がかかったようでシャーシ上面は錆だらけ、PTやOPTにもかかっており、錆が浮いています。

 

写真:Bアンプ(解体前の写真を取り忘れ)

シャーシの中はサビていないが表は錆だらけ

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写真:プリント基板部

表はサビだらけで使い物にならないので取り外した

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写真:OPT回り丁寧な配線、OPTは生きていた

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写真:電源トランスをチェック、生きていた

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今回はAアンプから先行して再製し、オリジナルA3500に準じて作ります

 

Bアンプはシャーシを再塗装し外観色が変わるのでPT、OPTを生かして他の球にしようと考えています。候補球は6AR6、6000、6L6GCなど

 

写真:Aアンプ、昨日配線したところまで

 

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黄白線(ジュフロン線)で配線しLRの配線はできるだけ別に這わし、スピーカ出力はLANケーブルカテゴリ6の線を使っています。

 

<続く>
 

 

 

 

 

LUXKIT A3500 修理

 

京都のオーディオ友から預かったA3500の修理記録をまとめて掲載します

 

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 のアンプは某陶芸家師匠が、工房でお使いになっていたもの、届いたときは少し土埃が積もっていました。

 

「フューズが飛んだ」との故障内容

 

結果、修理内容は以下の通りです

 修理箇所

・OPT:1個交換
・6AQ8:2本交換
・EL34:4本交換(1本不良のため4本とも交換)
・ヒューズ:交換
・PLランプ:交換
ダイオード:+b、バイアス用とも交換
・350V100uチューブらケミコン2個、抵抗5w200k2個追加
・160v100uケミコン2個交換
・取り付け用縦ラグ3個追加
・バイアス調整、性能確認、試聴
 
順調に回復しました。
 

 

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A3500は50年ほど前若かりし頃に2台製作したことがあり、またこのアンプ修理に先立って別のA3500の修理もしていたので、およそのことは回路図を見なくてもわかります。で、PTとOPTが断線していなければ自分の手で治せますと伝えてありました。

 

おそらく半世紀の以前のアンプでかなりくたびれているのではないかと思って内部を点検したところ、かつてメンテした形跡がありました。

 

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出力管EL34はVALVO製が付いており、4本中1本の管壁が少し黒ずんでいるのでこれが怪しいとにらんで、etrecerで特性チェックしたところ、他の3本は良好だが、この1本はやりダメでした。

ついでに増幅段の6AQ8も測定したが2本がかなりくたびれていたので交換

ページ一番下に測定したデータを添付しています

 

PTは異状なく、回りは主電源のダイオードがダメになってたので交換

 

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次に心配していたOPT:OY15-5、これが1個断線(泣)、やむなくヤフオクでゲットして交換

 

 

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OPTを取り替え、当方所有のEL34を挿入、電気投入チェックをしたところ、EL34の電流が異状に多く約200mAも流れている!

 

詳しく調べたところ、バイアス電源の異状で、EL34のEg1がー20Vとかなり低い。

マイナス電源ダイオードを確認するとブリッジの片側がおかしいので交換、これでOKと思ったが、電圧が少し高くなった程度で予定のバイアス値にはならない

 

「さて?」と考え込んだが、バイアス調整用VR付近がおかしい。いろいろ調べたがわからない、「まさか?」と思いVRから出ているケミコンを外してみると、意外や意外、バイアス電圧は正常なー50V付近まで上昇する、くっつけるとー20V付近に落ちる。このバイパス電解コンデンサは取り替えた様子があるので疑わなかったところであった、ケミコンリークでしたがこれは盲点でした。

ということでEL34が正常に動作するようになった。

 

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交換用EL34はCCI社へスベトラーナ社製2ペアを注文、入荷後アンプに差し替え、バイアス調整して修理完了した

 

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スベトラーナEL34は茶色袴で、やや太管である。

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概略特性を確認、最大出力は50W近くなった。

しかし、それでまた余計な心配が出てきた。ダイオードを取り変えたので整流効率が良くなったのかb電圧が少し高くなり、スイッチON直後は約500Vを超える、動作状態になると475Vまで低下する。ケミコンの耐圧ギリギリで、古くなったケミコンには少しきついかもしてないが、このままではいずれパンクすることが予測されるので、後10年つかえるようにしてほしいとの依頼なので、ケミコンを追加することに。既設のケミコンはそのままにして外観を変えないようにし、整流直後のケミコンをチューブラケミコン350V100uを二階建てにし、シャーシ内に収めることに。

外した1個分はCHアウト側に接続した。

 

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これでスイッチオン後の過電圧を気にしなくてよくなった。

 

無事に直ってオーディオルームでエージング兼視聴 

EL34の澄んださわやかな音が聞こえてきた

お客様にもきっと喜んでいただけることでしょう

 

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これで修理完了です

 

故障原因を推定すると

 ➀バイアス用ケミコンが徐々にリークし、バイアス電圧が浅くなり、バイアス用ダイオードがやられて

②EL34の一本が過電流となって焼損、つながっていたダイオードが壊れ、OPTが断線し

③電源フューズ飛んだ

 

 

無事に直ってよかった! 

何分古いアンプです、故障は避けられないと思いますが最低1年は働いてくれることを願っています 

 

参考までに 真空管の測定データ

➀EL34:4本 VALVO 5番が黒ずんでいた球で不良

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6AQ8:

2は生きている、1と3はダメ

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21GY5(T) OTL の製作(20)

21GY5(T) OTL の製作(20)

 

作った絶縁トランスを使ってテスト中です。
 

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ヒーターは非絶縁100Vから
DC電源は絶縁トランスから供給してます。
絶縁トランスの唸りは、電源ON時に少しありますが、動作中は静かになります。
 
zorzo スピーカ で視聴

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自画自賛です!
 
 
絶縁トランスを使わないで、ACライン直接につなぎ(トランスレス動作)、極性を合わせて使えば安全です。
聴き比べても、両者の間に違いはわかりませんが、やはりトランスレスの方が安定感があります。
OPT、PT、CHなどトランス鉄芯を使わない(鉄芯レス)良さが良くわかります。
音源:FM、CD
スピーカー:zorzo(16Ω)
 
 

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 マークオーディオ OM-FM4(6cm.8Ω)
 
夕食後からスピーカーをマークオーディオ(6cm.8Ω)へ変更しました。
三段重ねの上にある小型スピーカーです。
実に良く鳴ってくれます。

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この小型スピーカーボックスは
Woody & Allenさん製作です。
 

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