LUXKIT A3500 修理
京都のオーディオ友から預かったA3500の修理記録をまとめて掲載します
このアンプは某陶芸家師匠が、工房でお使いになっていたもの、届いたときは少し土埃が積もっていました。
「フューズが飛んだ」との故障内容
結果、修理内容は以下の通りです
修理箇所
A3500は50年ほど前若かりし頃に2台製作したことがあり、またこのアンプ修理に先立って別のA3500の修理もしていたので、およそのことは回路図を見なくてもわかります。で、PTとOPTが断線していなければ自分の手で治せますと伝えてありました。
おそらく半世紀の以前のアンプでかなりくたびれているのではないかと思って内部を点検したところ、かつてメンテした形跡がありました。
出力管EL34はVALVO製が付いており、4本中1本の管壁が少し黒ずんでいるのでこれが怪しいとにらんで、etrecerで特性チェックしたところ、他の3本は良好だが、この1本はやりダメでした。
ついでに増幅段の6AQ8も測定したが2本がかなりくたびれていたので交換
ページ一番下に測定したデータを添付しています
PTは異状なく、回りは主電源のダイオードがダメになってたので交換
次に心配していたOPT:OY15-5、これが1個断線(泣)、やむなくヤフオクでゲットして交換
OPTを取り替え、当方所有のEL34を挿入、電気投入チェックをしたところ、EL34の電流が異状に多く約200mAも流れている!
詳しく調べたところ、バイアス電源の異状で、EL34のEg1がー20Vとかなり低い。
マイナス電源ダイオードを確認するとブリッジの片側がおかしいので交換、これでOKと思ったが、電圧が少し高くなった程度で予定のバイアス値にはならない
「さて?」と考え込んだが、バイアス調整用VR付近がおかしい。いろいろ調べたがわからない、「まさか?」と思いVRから出ているケミコンを外してみると、意外や意外、バイアス電圧は正常なー50V付近まで上昇する、くっつけるとー20V付近に落ちる。このバイパス電解コンデンサは取り替えた様子があるので疑わなかったところであった、ケミコンリークでしたがこれは盲点でした。
ということでEL34が正常に動作するようになった。
交換用EL34はCCI社へスベトラーナ社製2ペアを注文、入荷後アンプに差し替え、バイアス調整して修理完了した
スベトラーナEL34は茶色袴で、やや太管である。
概略特性を確認、最大出力は50W近くなった。
しかし、それでまた余計な心配が出てきた。ダイオードを取り変えたので整流効率が良くなったのかb電圧が少し高くなり、スイッチON直後は約500Vを超える、動作状態になると475Vまで低下する。ケミコンの耐圧ギリギリで、古くなったケミコンには少しきついかもしてないが、このままではいずれパンクすることが予測されるので、後10年つかえるようにしてほしいとの依頼なので、ケミコンを追加することに。既設のケミコンはそのままにして外観を変えないようにし、整流直後のケミコンをチューブラケミコン350V100uを二階建てにし、シャーシ内に収めることに。
外した1個分はCHアウト側に接続した。
これでスイッチオン後の過電圧を気にしなくてよくなった。
無事に直ってオーディオルームでエージング兼視聴
EL34の澄んださわやかな音が聞こえてきた
お客様にもきっと喜んでいただけることでしょう
これで修理完了です
故障原因を推定すると
➀バイアス用ケミコンが徐々にリークし、バイアス電圧が浅くなり、バイアス用ダイオードがやられて
②EL34の一本が過電流となって焼損、つながっていたダイオードが壊れ、OPTが断線し
③電源フューズ飛んだ
無事に直ってよかった!
何分古いアンプです、故障は避けられないと思いますが最低1年は働いてくれることを願っています
参考までに 真空管の測定データ
➀EL34:4本 VALVO 5番が黒ずんでいた球で不良
6AQ8:
2は生きている、1と3はダメ