真空管OTLアンプの製作調整についての経験則いろいろ | ||||||||
☆必ず成功するOTLアンプの製作・調整法☆ | ||||||||
心得:真空管OTLアンプの通電・調整はのんびりゆっくり |
1.出力管の選定 | ||||||||||
電圧制御管(レギュレータ管) | ||||||||||
6080/6082 6AS7G 6336A/B 6C33C-B 6C41C 6C19P | ||||||||||
7241/7242 13E1 6RA3 6RA2 7233 | ||||||||||
水平偏向出力管(垂直偏向出力管) | ||||||||||
6CM5/25E5 6/13/27GB5 6/35FV5 6/12B-B14 6/12GB3 6/12GB7 | ||||||||||
6/30/40KD6 6/40KG6A 6/26/36LW6 6/16GY5 6/17AV5GA | ||||||||||
26HU5/26JX6 6LF6 6HS5 6/31LZ6 25DN6 12B4A 6CW5 | ||||||||||
その他(オーデイオ管) | ||||||||||
25HX5/50H-B26 25/50L6 25C6GA 12/25W4 50C5 |
2.回路設計上の留意事項 | |||||||||||
良く設計された回路を参考にする | |||||||||||
6080の場合、出力管のアイドリング時のプレート電圧はDC150V以下が良い | |||||||||||
(AC100V~120V 倍電圧整流がよい、最大AC145V 倍電圧整流) | |||||||||||
出力がほしいときは球数を8本まで増やす(最大上下各4本、4本以上は発振リスク大) | |||||||||||
主電源用整流器は出来るだけ電流容量の大きいものを使う | |||||||||||
(大容量ケミコンの突入電流による破損を防ぐ) | |||||||||||
6.3Vから並列接続する場合はヒーター消費電力に注意し配線も太く 留意必要 | |||||||||||
(2.5A*4=10A) | |||||||||||
6082でヒータ直列でAC100Vから点火する場合は、配線方法に注意 | |||||||||||
出来れば出力管ヒータとB電源はトランスを分ける | |||||||||||
ステレオ構成する場合、出力管 Ebb巻線とバイアス巻線はLRに分ける(2巻線) | |||||||||||
スピーカー保護のためON・OFFスイッチを付ける | |||||||||||
Ebb立ち上がり用タイマー(3分)を付ける(水平偏向出力管は無くてもよい) | |||||||||||
スナップスイッチでもよい | |||||||||||
Ebbがプラス単電源の場合とプラスマイナス電源がある、いづれも得失があるが、 | |||||||||||
通常±電源フローティング電源がよい | |||||||||||
バランス計、電流計をつけると調整やメンテが大変楽になり常に最良の状態で使える | |||||||||||
打消し回路をブーストラップ型にする場合ケミコン500V47uを使う(耐電圧注意) | |||||||||||
このケミコンリークでスピーカを飛ばす恐れあり |
3.シャーシ設計上の留意事項 | |||||||||||
なるべく大きいシャーシにゆったりと配置する | |||||||||||
バイアス調整VR、BPN調整VR は熱源から離し、シャーシ上面から回せるようにする、 | |||||||||||
VRは上質の物を使う | |||||||||||
出力管からの発熱が大きいのでケミコンなどには熱遮蔽版を付ける、 | |||||||||||
ファンを付けるのもよい | |||||||||||
の周放熱穴をたくさんあける |
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4.出力管の選別:実際使用するプレート電圧で測定 | |||||||||
使用するプレート電圧、一定のバイアス電圧時のプレート電流 | |||||||||
三極管以外の水平偏向出力管などは三結で計る |
5.出力管の選別:6080の場合 | |||||||||||
6080の場合;双三極管の1ユニットごとの測定 | |||||||||||
使用電圧電流+150V50mA、バイアスー68V プレート損失13W:7.5W 57% | |||||||||||
① | ② | ③ | ④ | ⑤ | ⑥ | ⑦ | ⑧ | ⑨ | ⑩ | ||
Aユニット | 45 | 38 | 60 | 70 | 55 | 38 | 60 | 70 | 50 | 60 | |
Bユニット | 55 | 45 | 40 | 65 | 45 | 65 | 65 | 50 | 45 | 75 | |
合計 | 100 | 83 | 100 | 135 | 100 | 103 | 125 | 120 | 95 | 135 | |
合計電流の順に ②ー⑨ー①③⑤ー⑥ー⑦ー⑧ー④⑩ | |||||||||||
ユニット間の電流差の大きいものは除外⑥(倍くらい違うもの) | |||||||||||
最小②と差の大きい⑥は除外し予備球とする | |||||||||||
残り8本から合計電流の順に2本を4組を作る | |||||||||||
③⑨ ①⑤ ⑦⑧ ④⑩ | |||||||||||
まとめると | |||||||||||
SEPP | Lch | Rch | |||||||||
番号 | 電流 | 番号 | 電流 | ||||||||
上 | ①+⑤ | 200 | ④+⑩ | 270 | 上が電流大 | ||||||
下 | ③+⑨ | 195 | ⑦+⑧ | 245 | |||||||
最終的にアンプに実装してバイアス電圧を調整して | |||||||||||
合計:Ebb;300V Ib;200mA 電圧と電流、出力段のDCバランスを監視
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6.必要な測定器と配線チェック | ||||||||||||
最低限テスター4台+1台 | ||||||||||||
出力段電源電圧と全電流にLRで4台、DCバランスなど各部電圧確認に1台 | ||||||||||||
(例外:フッターマンH-2型は配線の間違いがなければテスター1丁で調整出来る) | ||||||||||||
スライダック5~10A、歪率計、発振器、オシロスコープ、 | ||||||||||||
ダミーロード(16Ωと8Ω50W以上) | ||||||||||||
あれば便利:アナログ電圧、電流計、アナログテスター、これらは長時間監視に便利 | ||||||||||||
Ebbに大容量電解コンデンサーを使っている場合、放電用の抵抗を用意しておく、 | ||||||||||||
例:1kΩ30Wホーロ抵抗にテスターリードなどつけておく | ||||||||||||
配線間違いや部品の極性間違いがないかよく確認 |
7.調整の要点メモ | |||||||||||
最初に電源オンするときはスライダックでAC10Vで各部の電圧が、所定の1/10電圧 | |||||||||||
出ているかどうかの確認 | |||||||||||
タイマーを使ってる場合は、タイマーを外し、抵抗をショートする | |||||||||||
出力管の動作確認 | |||||||||||
出力管電流と電圧、バイアス電圧、出力中点のDCバランス電圧 | |||||||||||
(ゼロバランスメーター) | |||||||||||
負荷抵抗は無くてもよいが、16Ω~32Ωにする、8Ωは使ってはいけない | |||||||||||
所定の電圧電流に調整したのち最低1時間は連続監視、いったん電源を落とす。 | |||||||||||
球が冷えてから再度電源オン、バイアス調整しないで電流が所定値になるか | |||||||||||
最低1時間監視 | |||||||||||
出力管1ユニットごとの電流を計りたい場合は、プレート側に3~5W1Ω | |||||||||||
の抵抗を入て両端電圧を計る。 | |||||||||||
測定後は抵抗をショートするか取り外す。この抵抗は音質に影響する | |||||||||||
電流、ゼロバランスが安定していれば、一旦出力管を外して、次は増幅段調整 | |||||||||||
増幅段の調整 | |||||||||||
増幅段の調整は回路によって違うが、必要な個所の電圧を確認し、 | |||||||||||
間違いがなければ順調に動作する | |||||||||||
初段と2段目が直結になっている場合は、2段目のG-K間電圧が適当かを確認する | |||||||||||
増幅段に信号をいれて動作確認する(入力交流電圧を大きくしないこと) | |||||||||||
前段+出力段の調整 | |||||||||||
出力管を差し込む、負荷抵抗16Ωを付ける、 | |||||||||||
入力交流電圧はゼロ、負帰還抵抗は外して置く | |||||||||||
通電はスライダックで徐々に電圧を上げる、Ibb電流計やDCバランス計を | |||||||||||
監視しながらAC100Vまで上げる | |||||||||||
この状態で電流、バランス計を監視しながら異常なければ、AC100Vにして | |||||||||||
動作の安定を見る(発振や動作不安定、) | |||||||||||
各部の動作が安定してくれば発振器から交流信号をいれる | |||||||||||
最初は0.5W/16Ω(交流出力電圧2.8V)で様子を見る(負帰還なし) | |||||||||||
ゆっくり大まかに各特性を調べる | |||||||||||
最大出力の測定は通電後30分以上後に短時間でする | |||||||||||
最大出力時Ipは1A程度(以上)にもなるので電流計に注意! | |||||||||||
総合調整:各部の動作が安定してくれば総合調整、特性確認に移る。 | |||||||||||
通電後1時間以上後に | |||||||||||
負荷抵抗:8Ωまたは16Ω | |||||||||||
リップルキャンセル、ハムレベル | |||||||||||
負帰還量:9~12db | |||||||||||
方形波観測 | |||||||||||
周波数特性 | |||||||||||
出力特性:負荷抵抗8Ωの場合、短時間に最大出力を計る | |||||||||||
調整がすべて終り、1日エージングしてからスピーカーにつなぐ | |||||||||||
エージングと音楽鑑賞: | |||||||||||
調整がすべて終わってから、壊れてもよいスピーカーに | |||||||||||
つないで音楽をお楽しみください、 | |||||||||||
プレートが赤くなったり、スピーカから異音を感じたら、 | |||||||||||
すぐに電源を切る |
8.トラブル対策:一番怖いスピーカを飛ばすことを避けるには | |||||||||||
真空管OTLアンプのトラブルは電源ON時に起こりやすい、 | |||||||||||
「前日働いていても今電源を入れたら?」 | |||||||||||
タイマーは1~3分程度にして、ヒータが十分温まってからEbbを緩やかに上げる | |||||||||||
試聴中、席を離れるときはスピーカスイッチをOFFにする(ミューティングスイッチ) | |||||||||||
運転中まれに球が暴走することがある(6080,6336A/B、6C33C-Bなど) | |||||||||||
対策:球交換、プレート側に1/2~1W1~5Ωの抵抗をヒューズ代わりに入れる | |||||||||||
(抵抗がとんでくれるからW数を大きくしないこと) | |||||||||||
ヒーターを直列点火している場合、長期間使用中にヒータ劣化を起こしやすい | |||||||||||
ヒータの明るさを時々監視する(ヒーターストレス) | |||||||||||
9.その他 | 添付の「フッターマンH-2型 6C19P×8 モノOTL」は失敗が少ない | ||||||||||
テスター1台で出来るから、最初のOTL自作に良い | |||||||||||
ではご成功を祈ります! | |||||||||||
質問やはわからないことがあればお問い合わせください | |||||||||||
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